ISO14001を通した環境活動 社会医療法人北斗会 さわ病院

ISO14001を通した環境活動

社会医療法人北斗会 さわ病院

2022.08.01

団体概要

 さわ病院は、精神医療・福祉、高齢者医療・福祉に取り組む病院で、城山町にあります。精神科外来以外にも睡眠外来や脳ドック、大阪府指定の精神科救急、認知症対応も可能な病床を有する455床を備えた入院対応、外来リハビリテーションなどを行っています。病院内に地域保健福祉総合サービスセンターを設置し、医療・福祉を必要する方の相談などを受付するとともに、在宅給食サービス事業、在宅介護支援のアドバイス、訪問看護ステーション、障害者の就労支援事業、豊中市の委託による服部地域包括支援センターの運営など、医療・福祉の多岐にわたるサービスを提供しています。この他にも、北斗会として、ほくとクリニック病院(大阪市大正区)や、北斗会看護専門学校(城山町)の運営を行っており、法人全体の従業員は約600人に及びます。
 さわ病院では、2000年ごろに環境マネジメントシステムであるISO140001と品質マネジメントシステムであるISO9001を取得し、システムの運用を通して、さまざまな環境の取組みを行っておられます。2006年には、とよなか市民環境会議がエコ市民賞プレ企画として実施した市民環境活動発表会にて、病院内のごみ分別や機密書類リサイクルについて受賞されました。

環境の取組み

 さわ病院の環境への取組みとして、ペーパーレス化による紙資源の節約、照明のLED化と人感センサー導入、ごみの分別、食品ロスや海洋プラスチック問題への対応、病院周辺の美化清掃などがあります。
 ペーパーレス化では、電子サインによる書類のデータ化、電子カルテの導入による紙カルテの減少、パソコンのグループウェアを活用した院内コミュニケーションによる紙資源の節約などがあります。それでもやむなく出てくる紙の廃棄では、NPO法人とよなか市民環境会議アジェンダ21と豊中商工会議所が主催する機密書類リサイクルに参加することで、トイレットペーパーへと資源循環しています。また、最近話題となっている食品ロスや海洋プラスチック問題では、食堂で提供する料理は過去のデータで食数を調整してロスを減らすことや、行事で使用する使い捨て容器をプラスチックから紙製のものに変えるなどの対応を行っています。

 ISO14001の進行管理については、病院内に3人の管理責任者と11人ほどの副管理責任者・オブザーバーを配置し、毎月の会議での進捗確認と、年2回のマネジメント報告を行っています。管理責任者・副管理責任者などは、医師・看護師・コメディカルスタッフ・事務職員など、病院内のさまざまな立場から参加しており、マネジメントシステムの進行管理を通して、他の部署に関する理解が深まることや、異なる職種間の交流にもつながるといった効果があるそうです。ISO14001の進行管理では苦労することも多いが、どこに問題があるかわかるなどのメリットもあり、マイナスなことはまったくないという管理責任者の方の発言が印象的でした。

 ISO14001の導入から20年以上も継続して取り組んでいるため、最近では新しい取組みがなかなか見つからず、個別の取組みの精度を少しずつ上げていくことが中心となっているのが課題となっています。また、新型コロナウイルス感染症対策に代表されるように、医療廃棄物は増える傾向にあるものの、安全面・衛生面からは使いまわしができないものも多く、環境と品質のバランスが取れた展開が必要とのことです。

参考:
社会医療法人北斗会 さわ病院ホームページ http://www.hokuto-kai.com/

伝えたい想い

 先代の院長先生は、地域に開かれた病院でありたいとの想いから、病院内には地域保健総合サービスセンターを設置し、銀行のATMコーナーを誘致されました。地域に住む一般の人もサービスセンターでケアマネージャーに相談や、ATMコーナーを利用することができます。病院の敷地内では、とよなか市民環境会議アジェンダ21が野菜市を毎月実施し、地域の人が購入に訪れています。また、新型コロナウイルス感染症が広まる以前は、地域との協力で夏祭りの開催や、病院中庭での行事(舞台・模擬店)など、地域とのつながりを大切にしてこられています。
 SDGsの取組みについては、病院スタッフの理解に時間がかかるため模索中とのことですが、環境や福祉、地域との取組みを通して、SDGsをすでに実践されているように感じられます。今後のさらなる展開が期待されます。

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