建設業界が取り組む環境活動
一般社団法人豊中建設業協会
2023.03.31
団体概要
豊中建設業協会は、土木、建築、塗装、アスファルトなどの建設会社、およびそれらの資材を扱う事業者が加盟する協会です。公共工事をメインとする会社が多く、現在は31社が参加しています。戦後すぐに設立され、60~70社がピークとなって以降、減少傾向にありましたが、最近はまたゆるやかな増加傾向にあります。協会としては、懇親会や旅行の実施、建設関係の法令や入札制度に関する情報交換や研修会、入札に関する行政部局との定期的な情報交換などを行っています。長らくは任意組織でしたが、2020年に一般社団法人となりました。
豊中市とは古くから危機管理や防災に関する協定を締結しており、2018年の大阪北部地震では、地震が発生した当日の夕方にはブルーシート2,000枚を豊中市に寄附し、新型コロナウイルス対策では豊中市へ現金を寄附するなど、率先した協力をしておられます。阪神大震災の際には、そうした協力に対して豊中市から感謝状を贈呈されました。
環境関連では、とよなか市民環境会議に当初から幹事として関わるとともに、豊中市市民向け地球温暖化対策省エネ推進事業では住宅の省エネマイスターとして、家庭での住宅に関する診断にも協力されています。
環境の取組み
建設関係における環境の取組みは、制度や仕組みなどに関することと、現場での取組みに大別されます。
制度や仕組みについて、1億円以上の公共工事は総合評価方式となっており、ISO14001や9001を取得している事業者には加点がされるようになっています。協会では加盟する各社に対してISOの取得を呼びかけ、希望する加盟企業には取得に関する情報提供を行っており、ISOを取得する会社が少しずつ増えてきているそうです。
また、産業廃棄物の処理では豊中市への報告やアスファルトなどの処分に関するマニフェスト伝票(産業廃棄物管理票)の5年保管が義務付けられており、その状況はインターネットで公開されるようになっています。この報告には罰則規定がなく、立ち入り調査もあまり行われていないといった課題があるものの、報告がないと産業廃棄物を搬出していない(適正処理していない)ように思われるため、報告はしっかりと行うように協会でも呼びかけをしています。
工事現場での取組みとしては、石こうボードに含まれるアスベスト(石綿)の処理について、以前は現場で割っていましたが、それではアスベストが飛散するため、現在はボードのまま外して処理するよう法律で定められています。ですが、現場で石こうボードの分別が必要となり、作業員の労務費や廃棄物処理費が高くなることから、今でも現場で割っている事業者がいるそうです。一方で、協会に加盟する会社はいずれも古くから地元とのつながりをもって会社経営をしてきていることから、地元への配慮の観点からも、しっかりと適正処理を行っているそうです。
橋の補修工事では、塗装に使用されているペンキに鉛やアスベストが含まれており、以前はサンダー(工具)で粉塵を出しながら塗装をはがしていましたが、今では飛散しないように減圧室を作ったうえで、薬剤等で塗装を浮かせてから除去しているとのことです。
また、現場で工事する作業員の熱中症対策も重視されるようになってきており、涼むことができる休憩所の設置、ファンの付いたシャツの支給、熱中症対策の飴やタブレットの配布などが進められています。今年度からはそうした対策を行うよう、市の公共工事の仕様にも含まれるようになりました。
伝えたい想い
豊中建設業協会の新井正和会長(橋本建設株式会社)によると、協会としてしっかりとした活動をしていくためにも、法人化は長年の夢であったそうですが、2020年に実現に至りました。また、建設・造園・電気・給排水といった6団体の業界団体を8団体に拡充し、各業界団体で連携していきたいと考えておられるそうです。
法令順守については、豊中市から「国の指導と地元の業界団体の考えが一致していたら、市でも事業者にしっかりと説明していくことができる」と言われており、協会と行政が協働していくことが必要とのことでした。豊中市が取り組んでいる「豊中SDGsパートナー登録制度」についても、協会内で登録を呼びかけているそうです。制度への登録を総合評価制度の配点に盛り込んでもらえれば、建設会社でもSDGsがもっと広がるだろうとのことでした。
公共工事には追跡があるとのこと。工事で出た廃棄物等は誰がどこへ運び、運んだ先でどうするというのがわかるため、しっかりとした取組みにつながります。「守らなくていいと思う人が出てくるのが怖い」というのは新井会長。豊中市にも中核市として積極的に取り組んでほしいとのこと。協会としても環境対策に引き続き責任を持って取り組んでいきます。